ニュースとInstagram を活用したドイツ語学習
珍しくニュースに関わる投稿をしてみます。
この報道を日本語で知る少し前に、Instagramにて、以下のようなドイツ語文章が投稿されていたのを見かけました。引用します。
Mesut Oezil tritt aus der deutschen Nationalmannschaft zurueck, weil er vom Rassismus und der Respektlosigkeit enttaeuscht ist.
上の事実を知る前には、ほぼ理解できませんでした。その時の私の頭の中を書き出してみます。
「メスト・エジルはドイツのナショナルチームを、何かして*1 (カンマ以下は、weil だから理由が述べられるな) Rassismus レイシズム・人種差別、と「リスペクトが無い状況」 が、どうのこうの、のために。*2」
ということで、主文と副文双方の動詞(述語)の意味が取れないという体たらく... 勘が良かったり、類推力があれば、上の良く分からない箇所も想像がつくようにも思います。
上のニュースを頭に入れ、また動詞の意味を辞書で引き、ようやく明快に理解しました。
「メスト・エジルは、人種差別と無配慮*3に失望したため、ドイツ代表チームを引退した」なるほど。すっきり。あらゆる情報がつながりました。クロスワードパズルのような感覚。
「言葉の壁」と「内容に関する情報量」
ことばは分からなくても、内容は理解できるということがあり得るということの一例です。多少分からない単語や表現があったとしても、俯瞰的には把握できる。人間が持つ類推や応用の為せる技だと思います。振り返って、そのブラックボックスだった箇所を確認すると、他の理解できた箇所と繋がって、無理なく理解し、無理なく習得できそうです。
- ドイツ(語)でも取り上げられる日本語のニュース、また逆に
- 日本(語)でも取り上げられるドイツ語のニュース
その双方を往来するのも面白そうです。面白いのと同時に学びにもなるという。
その観点では、このサイトをよく閲覧しています。
Asienspiegel | News. Reisen. Japan. Von Jan Knüsel.
日本のタイムリーな情報・ニュースをドイツ語化されているようです。
*以下は、ドイツ語学習のための記述になります。
- zuruecktreten 分離動詞。今回は「退く、引退する、辞退する」。考え方として「蹴り戻る(step back)」もありだが、“どこからどこへ行くか”という方向性がつかめなかった。この場合は、“チームに召集された状態から、元の所へ戻る、つまり、チームを出る”、とすればしっくりくる。
- enttaeuschen 「失望させる」。このさせるという所に注目。主語が4格をがっかりさせるわけで(他動詞)、主語ががっかりするわけではない、と。主語は人だけでなく、事象や行為になることも多そう。今回はist と共に使われている。辞書の enttaeuscht の欄を見ると↓
- von + 3格(またはueber + 4格)enttaeuscht sein 「~3格または4格にがっかりしている」というものがあると分かる。今回はこれ。このような形容詞的な用法を知らなくても、まず動詞としてのenttaeuschen が分かればクリアできそう。
enttaeuschen を分析的に理解して憶える/具体的に何がどうなることなのか
- まず、tauschen は「交換する」という意味。英語ならexchangeかな。フラットな、フェアなやりとり。
- 次いで、ウムラウトする taeuschen は「だます、欺く、裏切る」となります。相手に不利益を与えるようなアンフェアなやりとりが見えます。
- そして、enttaeuschen が「失望させる、がっかりさせる」。だましたり、裏切ったりすることの延長線上にある感情の動き。さて、失望とか、がっかりという感情はどこからくるのでしょうか。それは「望みや約束事が成立している状況」を前提にしており、それが「裏切られたり・思いとは違う方向にことが進むこと」によって引き起こされます。だから失望させる/したりする。日本語特有の表現、まさに「がっかり」する。
ちなみに、ent… という接辞語は何を意味するでしょうか。辞書を引くとどんどん出てきます。
- 対向:向き合う:entbieten「(挨拶などを)伝える」
- 離脱:離れる:entfallen「(手などから)すべり落ちる」
- 起源:起こる:entspringen「由来する」
- 開始:始まる:entschlafen「(しだいに)眠り込む」
- 復原(復元):enttaeuschen「幻滅させる」*4
- 除去:取り去る:entkleiden「服を脱がせる」