ある多言語学習者の断想

ohne Fleiß kein Preis.

『まいにちドイツ語』を聴いて/持つ、とは何か?

今日もテキストから引用します。愛を込めて。ちなみに今日は三文のみ。「ダン」が二文喋り、「シュミットさん」が一文で答えたシーン。

Sie haben aber die ganze Zeit mich gefragt.

(だけど、あなた*1がずっと私に質問なさっていたものですから)

この「なさっていたものですから」はまさにニュアンスや文脈を活かした訳し方ですね。そういうものを度外視すると「質問していました」というシンプルなものになりそう。

現在完了形(ドイツ語版)

英語と違い、会話の中で「少し過去」のことを表す時には現在完了形を使うんですよね。過去形はちゃんとあるのですが、本当の意味の過去というか、現実とは切り離された過去、歴史や物語上の出来事を表す時にまさに「過去形」が使われる、ようです。*2

 

持つ(haben)とは何か?

英語ならhave。現在完了形の構成要素でもあるこの基礎中の基礎中の基礎動詞が気になります。独独辞典を覗いてみよう。

jemand besitzt etwas als Eigentum

  • だれかが何かを所有物として所有する(備えている)

こんな感じでしょうか。

お、なるほど、お、そうきたか。まあそうなるよね、という感じ。Eigentum (自分自身のもの=所有物)という語が使われています。

habenの独独辞典の箇所を眺めてみて驚くのは上の意味を含めて、見出し項目だけで、45個もあるということ! それだけ用途が広いということでしょうか。

人が何かを言い表すことは「これは自分のものである」ということ*3を主張するケースが凄く多いということの証左なのではないか、そして言葉の誕生によって人は争いごとを回避してきたのか*4、ことばは戦争を減らしたか、その逆なのかなどと思いを馳せたりしています。

 

NHKラジオまいにちドイツ語 2018年 06 月号 [雑誌]

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*1:シュミットさん

*2:過去形をあまり会話では使わない、と参考書や教科書には書かれています

*3:あるいはそれに準ずること

*4:領土、所有権、武力衝突などの案件