『ドンと来い分離動詞』に背中を押され
ドイツ語の特徴の1つとして「分離動詞」なるものが挙げられるでしょう。1つの文の中で本来1単語であるはずの動詞が文字通り分離して用いられる。この奇妙な動詞群を巡るアレコレを面白おかしく解説してくれる本がこちらです。
2015年に一度読みました*1が、今読み返すとまた味わい深いのです。
- abbauen (採掘する、解体する、縮小する、淘汰する)
- mitbringen (持ってくる、携帯する)
- durchkommen (通り抜ける、切り抜ける、合格する、…で間に合わせる)
- zuschreiben (書き添える、名義を書き換える、転嫁する、人のせいにする、負わす)
- festsetzen (決定する、期日を決める)
と枚挙に暇がありません。それぞれの語義だけでなくその背景やニュアンスを解説してくれています。語り口が軽妙なのでスラスラと読める。著者のサービス精神や優しさが行間から伝わってきます。
単なる文法書、解説書という枠を飛び越えて、ドイツ語というのはおおよそこういうものですよ、という文化論的な内容にも踏み込んだ良書だと思います。
*1:そういった日付情報は本に直接書き込むことにしています