ある多言語学習者の断想

ohne Fleiß kein Preis.

『ドンと来い分離動詞』を再読して

久々に本について述べましょう。

ドンと来い分離動詞

ドンと来い分離動詞

 

ドンと来い分離動詞。

実は以前にもこのブログで紹介したことがあります。やっぱり好きで引き込まれてしまうので再び語らせてください。

 

面白いポイント

  1. 筆者の文体・語り口 : 肩が凝らない読み物でありながら、核心をついた内容。自然と理解が進む感じ。
  2. 言葉が織りなす「概念」や「空間的、時間的なヴィジュアル」が立ち上がってくるような解説 : 言葉の言葉的な解説ではなく、言葉が示しているヴィジョンを見せてくれる感じ。

 

参考書であって参考書でないというか、学術書ではないのに充分に学究的であるというか、そういう雰囲気を醸し出しています。比喩が多くて文学的ですらある。そもそも言葉というのは数式や公式で割り切って語れるものではなくて、イメージや感情の支配する「遊び」のあるものなのだろうと思えます。

自分なりのドイツ語学習、特にドイツ語のニュースを日々読む取り組みを経て、以前よりは多くの生のドイツ語文章に触れ合ってきました。それを踏まえてまた本書を読むと、物凄く面白い。少しだけ見えてきたドイツ語のしくみ、自分の中に出来つつあるドイツ語像を強くしてくれるというか、「その理解でいいんだよ」と背中を押してくれるような感覚を抱きます。

 

また反対に、本書で得た知識を試してみたくて、読むこと*1に積極的になれる自分がいます。

*1:広くはドイツ語に接すること